✅ この記事の結論
一条工務店には、基礎レベルの浸水を防ぐ「床下耐水害仕様」と、床上浸水・浮力まで対策する「耐水害住宅(スタンダード/浮上)」があります。スタンダードタイプなら坪8,800円(30坪で約26万円)と手頃で、ハザードマップで浸水リスクのある土地なら積極的に検討すべきオプションです。我が家は浸水想定区域外だったため不採用でしたが、今思えばスタンダードタイプなら入れておいてもよかったかもしれません。
この記事の内容
- なぜ今、住宅の水害対策が必要なのか
- 一条工務店の水害対策は「3段構え」
- 床下耐水害仕様の特徴(エントリー版)
- 耐水害住宅(スタンダード/浮上タイプ)の特徴
- 費用と採用条件
- 2倍耐震について
- 耐水害住宅のデメリット・注意点
- 我が家が採用しなかった理由と、今思うこと
- ハザードマップの確認方法と判断基準
- よくある質問
- まとめ
近年、毎年のように豪雨による浸水被害がニュースで報じられるようになりました。「まさか自分の家が」と思っていても、ゲリラ豪雨や内水氾濫は河川沿いに限らず発生します。
一条工務店は、水害から住まいを守るための技術として「耐水害住宅」を開発し、数々の賞を受賞しています。この記事では、床下耐水害仕様と耐水害住宅の違い、費用、採用条件、デメリットまでを、グランスマートで建てた施主の視点から徹底解説します。
なぜ今、住宅の水害対策が必要なのか
地球温暖化やヒートアイランド現象の影響で、日本では1時間に50mm以上の豪雨の発生回数が以前と比べて約1.5倍に増加しています。この傾向は今後さらに加速すると予測されています。
しかも、水害は河川沿いだけの問題ではありません。市街地や住宅街に降った雨の排水が追いつかず発生する「内水氾濫」は、実は河川氾濫(外水氾濫)よりも被害棟数が多いというデータがあります。つまり、川から離れた住宅街でも水害に遭う可能性はゼロではないのです。

もし住宅が床上浸水に遭った場合、床をはがしたり、断熱材や住宅設備を入れ替えたりする必要があります。排水管から汚水が逆流すると、消臭しても臭いがしばらく残る問題も。復旧には数百万円の費用がかかり、場合によっては1,000万円近くになることもあるのです。
一条工務店の水害対策は「3段構え」

一条工務店の耐水害住宅は、水害発生時の被害を抑え、床下・床上浸水などの水害災害を防ぐ住宅です。一条の「耐水害住宅」と一般的な仕様の住宅を実験施設内に建築し、約3,000トンもの水を使って豪雨・洪水被害を再現。一般的な仕様の住宅は、床下換気口や玄関ドア、窓の隙間から次々と浸水していきましたが、一条の「耐水害住宅」では、床下、室内ともに被害を受けませんでした。

一条工務店では、水害対策のレベルに応じて3つのグレードが用意されています。リスクの大きさや予算に合わせて選べる仕組みです。
| グレード | 対応水位 | 主な対策内容 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 床下耐水害仕様 | 基礎天端まで (地面から約40〜45cm) | 止水テープ・防水ソケット 排水管ロック・室外機かさ上げ | 全商品対応可能 (費用は営業担当に確認) |
| 耐水害住宅 スタンダード | 約1mまで+浮力対策 | 上記+フロート弁換気口 壁面防水・中空パッキン 逆流防止弁・注水ダクト | 坪8,800円 (30坪で約26万円) |
| 耐水害住宅 浮上タイプ | 約5mまで | 上記+係留装置 二重基礎構造 | 坪22,000円 (30坪で約66万円) |
※費用は2026年6月時点の情報です。最新の金額は営業担当にご確認ください。
床下耐水害仕様の特徴(エントリー版)
「床下耐水害仕様」は、基礎構造に防水機構を導入することで、基礎天端(基礎の最上部)までの浸水を軽減する仕様です。耐水害住宅ほど本格的ではありませんが、全商品で対応可能とされています。
4つの対策ポイント

| 対策箇所 | 内容 |
|---|---|
| 基礎打ち継ぎ部 | 止水テープを施工し、コンクリートの打ち継ぎ部からの水の浸入を防止 |
| 配管貫通部 | 給水・給湯管・ドレン管等の貫通部に防水ソケットを採用 |
| 排水管 | ロック機構とパッキンで排水管の抜けと水漏れを防止 |
| 室外機 | 機器の故障を防ぐため、基礎より高い位置に設置(架台2か所まで標準サービス) |
💡 注意点
床下耐水害仕様は、あくまで基礎天端までの水位を想定した仕様です。基礎天端を超える浸水による床下への水の浸入は防げません。ハザードマップで浸水深0.5m以上が想定される地域では、次に紹介する「耐水害住宅」を検討しましょう。
耐水害住宅(スタンダード/浮上タイプ)の特徴

一条工務店が2020年秋に販売を開始した「耐水害住宅」は、浸水・逆流・水没・浮力の4つの危険に対策を施した世界初の住宅です(2020年8月・自社調べ)。約3,000トンの水を使った実大浸水実験でも、床下・室内ともに浸水被害なしという結果が確認されています。
①浸水対策 ─ 水が入る隙間をなくす

一般的な住宅で浸水の原因となる箇所を徹底的にふさぎます。具体的には、フロート弁付き床下換気口(水位が上がると自動で弁が閉じる)、透湿防水シートによる壁面防水処理、水密性の高い中空パッキンを採用した玄関ドア、そして5mm厚の強化ガラスを使った樹脂サッシなどが組み合わされています。
②逆流対策 ─ 汚水の逆流を自動で防ぐ

豪雨で水かさが増すと、下水管から汚水が逆流してトイレやキッチンに溢れ出すことがあります。一条工務店では専門メーカーと共同開発した逆流防止弁を床下の排水管に設置。水害時には自動で弁が閉じて汚水の浸入を防ぎます。弁の上部には点検口もあり、メンテナンスや部品交換も容易です。
③水没対策 ─ ライフラインを守る

エコキュートは重要な基板や電気動力部品を本体上部に配置する専用仕様に変更。エアコン室外機や蓄電池、パワーコンディショナーなども水没しにくい高さに設置されます。100kg超の蓄電池を壁の高い位置に取り付ける技術は一条独自のものです。これにより、被災後もライフラインが確保され、通常に近い生活を送ることができます。
④浮力対策 ─ 2つのタイプから選択

高気密住宅は浸水を防ぐ反面、水位が上がると船のように浮力がかかるという課題があります。一条工務店はこの浮力対策として2つのタイプを開発しました。
| 種類 | スタンダードタイプ | 浮上タイプ |
|---|---|---|
| 仕組み | 水位が上がると床下注水ダクトから基礎内に水を引き込み、水の重さで浮力に対抗 | 敷地四隅のポールに係留装置で家を固定し、安定して浮上させる。水が引くとほぼ同じ位置に着地 |
| 対応水深 | 約1mまで | 約5mまで |
| 基礎 | 通常基礎 | 二重基礎構造 |
| 費用(坪) | 8,800円 | 22,000円 |
受賞歴と実績
耐水害住宅はその先進性が各方面から高く評価されており、ジャパン・レジリエンス・アワード2021 準グランプリ金賞、気候変動アクション環境大臣表彰、2023年日本建築学会賞(技術)、グッドデザイン賞2022、キッズデザイン賞2021を受賞しています。技術賞の住宅メーカー受賞は史上初とのことです。
実際の災害でも効果が実証されています。2022年9月の台風15号では静岡県で甚大な浸水被害が発生しましたが、浸水エリアにあった耐水害住宅は周囲が床上・床下浸水する中で室内への浸水を免れたと報告されています。
費用と採用条件
費用の目安
| タイプ | 坪単価 | 30坪の場合 | 35坪の場合 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 8,800円 | 264,000円 | 308,000円 |
| スタンダード(アイスマイル) | 5,500円 | 165,000円 | 192,500円 |
| 浮上タイプ | 22,000円 | 660,000円 | 770,000円 |
※2026年1月時点の情報です。以前はスタンダード坪12,000円・浮上坪30,000円だったため、かなり値下げされています。最新の金額は必ず営業担当にご確認ください。
☝ 隠れた費用に注意
耐水害住宅を採用すると、以下の追加費用が発生する場合があります。
・エコキュート耐水害仕様:+25,000円程度
・網戸の計算方式が変更される(坪単位の割安計算ができなくなる)
これらの「隠れコスト」も含めてトータルで検討しましょう。
採用できる商品
| 対応タイプ | 商品名 |
|---|---|
| スタンダード+浮上 | グランスマート・アイスマート・アイキューブ |
| スタンダードのみ | アイスマイル・アイスマイルプラス・ハグミー・ハグミーファム |
| 採用不可 | グランセゾン・セゾン・セゾンA・ブリアール・百年 |
基本的に2×6(2×4)工法の商品で対応可能です。在来工法(I-HEAD構法)のグランセゾンなどは、水密性を確保するための構造上の制約から対象外となっています。ナチュリアはどれになるか不明ですが、おそらく「スタンダードのみ」になると思われます。詳しくは営業担当にご確認ください。
📝 前提条件:2倍耐震の採用が必要
耐水害住宅を採用するには、2倍耐震の同時採用が条件となっています。2倍耐震については次のセクションで詳しく解説します。
2倍耐震について
耐水害住宅の採用には「2倍耐震」が前提条件となっていますが、この2倍耐震自体が非常に魅力的なオプションです。我が家も2倍耐震を採用しています。
2倍耐震とは

2倍耐震とは、建築基準法の耐震性能の2倍の強度を持つ住宅仕様です。一般的な最高等級は「耐震等級3」(等級1の1.5倍)ですが、一条工務店の2倍耐震は耐震等級5相当に達します。
技術的には、カナダで開発された「ミッドプライ・ウォール・システム」という工法を採用しています。壁の厚さ140mmの真ん中にもう1枚の構造用合板を追加することで、通常の壁をはるかに上回る強度を実現しています。

| 耐震等級 | 強度(等級1比) | 一条工務店の対応 |
|---|---|---|
| 耐震等級1 | 1.0倍(基準) | ─ |
| 耐震等級3 | 1.5倍 | 標準仕様 |
| 2倍耐震(等級5相当) | 2.0倍 | オプション(坪3,300円) |
2倍耐震の費用は坪単価3,300円です。30坪で約99,000円、35坪で約115,500円となり、住宅の耐震性能をここまで引き上げるオプションとしては非常にコストパフォーマンスが高いと感じます。
💡 2倍耐震のデメリット
壁の中に追加の構造用合板が入るため、間取りの制約が増える場合があります。設計段階で耐力壁の位置が制限されることがあるため、間取りの自由度をどこまで許容できるか、設計士と相談しながら判断しましょう。
一条工務店の耐震性能については、川の中にぽつんと残った家が一条工務店の家だったというニュースが印象的な方も多いのではないでしょうか。実は私が一条工務店に興味を持ったきっかけも、そうした耐震性能の強さでした。耐震性能については別記事で詳しく解説する予定です。
耐水害住宅のデメリット・注意点
耐水害住宅は非常に優れた水害対策ですが、採用にあたっていくつかの制約やデメリットがあります。事前に理解しておきましょう。
間取り・窓への制約
水密性を確保するために、窓のサイズや形状に制約が生じます。1階の掃き出し窓は開き窓仕様となり、床から窓下端までの寸法が969mm必要になります。玄関の横幅も4マス(約364cm)までに制限され、窓の配置にも耐力壁などの構造的制約が加わるため、デザイン性よりも機能性を優先する設計になる可能性があります。
玄関ドアの仕様変更
耐水害仕様では鍵穴の位置が上部に移動されるため、スマートキー(eエントリー)は一体型ではなく別体型になります。見た目や操作感が若干変わる点は事前に確認しておきましょう。
グランセゾンは対象外
デザイン性の高さで人気のグランセゾンは、在来工法のため耐水害住宅に対応していません。水害対策を重視する場合は、同等以上の性能を持つグランスマートやアイスマートを選ぶ必要があります。
耐水害住宅でも避難は最優先
どれだけ対策が施されていても、大規模な水害では想定外の事態が起こり得ます。安全に避難できる場合は、各自治体の指示に従って避難することが最優先です。耐水害住宅は「避難が困難な場合の最後の砦」として位置づけましょう。
我が家が採用しなかった理由と、今思うこと
我が家はグランスマートで建て替えましたが、耐水害住宅は採用しませんでした。その判断に至った理由をお伝えします。
不採用の理由
我が家の土地は市町村の浸水想定区域に入っていませんでした。近隣に大きな河川もなく、この地域では100年ほど浸水した記録がありません。尾張平野の一部ですが、家の周辺は周囲よりわずかに(50cm〜1mほど)高い場所に位置しており、浸水リスクは低いと判断しました。また、街中のためここ数年ほど内水氾濫対策の工事を実施しており、浸水リスクが更に低くなっていることも理由です。
ただし、検討自体はかなり真剣に行いました。一条工務店の工場見学では浮上タイプの体験までしています。実際に水位が上がって家が浮く様子を体感できたのは、一条工務店の技術力を実感する貴重な経験でした。
今思えば…
建て替えが完了した今振り返ると、スタンダードタイプなら入れておいてもよかったかもしれないと感じています。30坪で約26万円という費用は、住宅全体の費用からすれば大きな負担ではありません。近年はゲリラ豪雨が増えており、ハザードマップ上は安全でも内水氾濫のリスクはゼロではないからです。
なお、2倍耐震については我が家も採用しています。坪3,300円で建築基準法の2倍の耐震性能が得られるのは、コストパフォーマンスの面で見送る理由がないと判断しました。
ハザードマップの確認方法と判断基準
耐水害住宅を採用すべきかどうかの判断には、ハザードマップの確認が欠かせません。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から自宅や建築予定地の浸水リスクを無料で確認できます。

| ハザードマップの浸水深 | おすすめの対策グレード |
|---|---|
| 色なし(浸水想定なし) | 床下耐水害仕様で安心感を上乗せ (我が家はこのケース) |
| 0.5m未満 | 床下耐水害仕様 or スタンダードタイプ |
| 0.5〜3m | スタンダードタイプを強く推奨 |
| 3m以上 | 浮上タイプ、または土地の再検討も視野に |
☝ ハザードマップに色がなくても安心できない理由
ハザードマップは主に河川氾濫(外水氾濫)を想定したものが多く、内水氾濫(排水能力を超える豪雨)のリスクは十分に反映されていない場合があります。特にゲリラ豪雨が増加している現状では、ハザードマップ上は安全でも備えておく価値はあります。
よくある質問
Q. 床下耐水害仕様と耐水害住宅の違いは?
床下耐水害仕様は基礎レベルの防水に特化したエントリー仕様で、全商品で対応可能です。耐水害住宅はそれに加えて、玄関ドアや窓の水密性向上、逆流防止弁、浮力対策まで含む本格的な水害対策仕様です。
Q. グランスマート・アイスマートでも採用できる?
はい。グランスマート・アイスマートはスタンダードタイプ・浮上タイプの両方に対応しています。2×6工法で気密性が高いため、耐水害住宅との相性は良好です。
Q. 見た目は変わる?
外観上の大きな変化は少ないですが、玄関ドアの鍵穴位置が上部に移動されたり、1階の窓が開き窓仕様になるなど、細かい仕様変更があります。室外機が通常より高い位置に設置される点も見た目に影響します。
Q. 実際に水害で効果があった事例は?
2022年9月の台風15号で静岡県に甚大な浸水被害が発生した際、浸水エリアの耐水害住宅は室内への浸水を免れたと報告されています。また、2024年6月には北海道の十勝川で堤防を実際に決壊させる大規模実験が行われ、高さ1.7mの濁流に耐える性能が確認されました。奇しくもかなりの宣伝効果になりました。
参考URL(SBSニュース):家の中に水は「一滴も入っていません」床上浸水3731棟の水害から守った耐水害住宅【わたしの防災】
Q. 後から追加できる?
耐水害住宅の仕様は基礎構造や壁面の施工、窓・ドアの仕様変更など建築時に組み込む必要があるため、後付けは困難です。検討は設計段階で行いましょう。
まとめ
✅ この記事のまとめ
・一条工務店の水害対策は「床下耐水害仕様」「耐水害住宅スタンダード」「耐水害住宅浮上タイプ」の3段構え
・スタンダードタイプは坪8,800円(30坪で約26万円)とコスパが高い
・採用には2倍耐震(坪3,300円)の同時採用が条件
・グランスマート・アイスマート・アイキューブはスタンダード+浮上の両方に対応
・グランセゾンは対象外。間取りや窓への制約もあるため、設計段階での検討が重要
・ハザードマップで浸水リスクを確認し、立地に合ったグレードを選ぼう
一条工務店は断熱・気密だけでなく、水害や地震に対する備えでも業界をリードしています。「家は、性能。」というコンセプトは、目に見えない安心にまでしっかり反映されていると感じます。
ハウスメーカー選びでは、性能やデザインだけでなく「災害時に家族をどう守るか」という視点も大切です。まずはハザードマップで自宅の水害リスクを確認するところから始めてみてください。
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